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川上未映子の著作「すべて真夜中の恋人たち」を読んでみての感想

 こんばんは、帰郷をしているいわしです。

昨日、飲み会までに時間があったので、本屋さんへぶらり。
そこでずっと前から読みたかった本が文庫本になっていたので、即買い。
冒頭の文章ががすごくすごく素敵だから、気になっていた。


「真夜中は、なぜこんなにもきれいなんだろうと思う。
それは、きっと、真夜中には世界が半分になるからですよと、いつか
三束さんが言ったことを、わたしはこの真夜中を歩きながら思い出している。」

※冒頭分引用

 

30歳を過ぎた独身女性の孤独で切なく繊細な美しい恋愛小説です。
人を好きになると、誰だって嫌われることを恐れて、傷つかないような行動をとってしまうと思う。
例えば、それが中学生なら友達に相談したり、メールが来ないか携帯電話を持ちながらベッドでゴロゴロしたり可愛いもんですが、それが30歳過ぎの独身女性になると辛い。


主人公はフリーランスで本の校閲をやっている。友達と呼べるようなひともおらず、静かに集中して徹底的に毎日の仕事をしている。
そこに三束さんという高校で物理の先生をしている人に出会う。
最初はぎこちないものの、週に1度だけ喫茶店で会話を重ねるごとに少しずつ親しくなっていく・・・というお話です。
うん、なんかいわしが纏めるとすごく簡単で安っぽい話に見える^^;

主人公が三束さんと話すとき、いつも敬語で話しているのがいい。
何か英文をそのまま日本語訳に直したような・・・
孤独だけれども、一人で完結できてしまう、誰とも繋がっていないということが妙にリアルに感じた。
「三束さんはわたしと寝たいですか。」と聞く主人公の痛々しいほど純粋で見ていられなくて泣けてきた。
ラストも衝撃だったけど、全体的に言葉が綺麗で、いつもの毎日が愛おしくて、どこにも行けなくて、救いようのない作品だった。
それでも、ご飯食べたり、恋愛したり、会社に行って仕事をしなけれないけないんだ。
読んだ後は深い湖の底に沈んだような気持ちになるけれど、出会ってよかったと思える1冊でした。
他の作品も読んでみたい。

 

すべて真夜中の恋人たち (講談社文庫)